事例概要
恵生会病院が位置している東大阪市は、ラグビーの聖地として名高い花園ラグビー場がある他、技術力の高い中小企業が密集し、生駒山という緑豊かな自然のある街です。 昭和56年に産婦人科として創業して以来、恵生会病院はこの街の地域医療に貢献し続けています。 そしてこの度、今まで以上に快適で使いやすい環境の整備を目指し、産婦人科病棟(本館4・5階)を全面リニューアルしました。 本プロジェクトで最も重視したのが、患者さんが大切な時間をリラックスして過ごせる環境を実現すること。 その実現のために、居心地がよく温かみのある“ホテルライク”をテーマとして、環境のデザイン・設計、工事に臨みました。
課題
環境整備による病床機能の強化に併せて、産婦人科病棟の雰囲気を明るく落ち着いた空間にすること。 外来診療・入院の体制を継続しながら、安全最優先で工事を進めること。
デザイン・設計のポイント:“ホテルライク”なインテリアでリラックスできる空間を実現
いわゆる“病棟”でイメージされる要素にかわり、“ホテルの客室”でみられる要素を多く取り入れています。 従来の病室では床頭台が多く採用されますが、これを『ホテルデスク』や『壁掛けテレビ』などに置き換えることで、“ホテルの客室”らしさを演出しています。もちろん、患者さんの生活導線や動きを想定した寸法で制作しており、使いやすさといった機能面にもこだわっています。 また、印象を大きく左右する配色についても、リラックス効果の高いアースカラーを多用。ベージュにくすみ系のグリーン・ピンクを組み合わせることで、穏やかでありながら爽やかさも感じられるようにしています。 さらに、従来のベースライトにかわりLEDダウンライトを採用することで、病棟の明るさをアップさせつつ温かみのある雰囲気を演出しています。
デザイン・設計のポイント:フロアのアイコンとして活躍する“ウォールアート”
インスタグラムの公式アカウントを運用するなど、恵生会病院は情報発信にも力を入れています。本プロジェクトでは、情報発信時に活用できるスポットをつくることも重要なミッションでした。 そこで、共用部の一角にウォールアートを採用。これは、患者さんやスタッフさんにポジティブな印象を与え、リラックス効果やコミュニケーションの増加を意図したものです。緑豊かな木にとまる2匹の鳥をモチーフにし、かわいらしく柔らかい雰囲気のスポットをつくりました。 今ではフロアのアイコンとして、インスタだけでなくスタッフさんの集合場所としても活用されています。
制作・施工のポイント:部材選びの工夫による安全配慮と工期短縮
本プロジェクトは外来診療と入院の体制を継続させながらの工事でした。そのため、十分な安全対策を講じたうえで、工期も短くなるように計画しました。 例えば廊下の貼り替え工事。工事中でも必ず人が通ることができ、部屋の出入りを極力阻害しない工夫をしました。施工性が高くサイズ感のよい床材を2色採用することで、スピーディーかつ部分的な施工が可能となり、廊下がいつでも利用できる状態を保ちました。 同時に、施工に使用する接着剤や塗料は匂いの弱い部材を選定するなど、患者さんやスタッフさんへの配慮にも細心の注意を払いました。